中学校の進路指導は超安全志向が基本?

斬る

現在、Mr.M塾では受験生の保護者面談、生徒面談が続いています。

(私の塾では三者面談は行いません。あんまり良いことないので。)

数年前からですけど、加速している傾向があります。

それは「この時期になると志望校を下げる生徒が多い」という現象。

いや、もっと進んで「この時期に私立高校の単願受験に切り替える生徒が多い」という現象。

ま、埼玉県で私立単願といえば、確約ってのがついて回りますので、要はほぼ合格って話になることがほとんどなんですけど…

コレ、理由があってですね。

学校の三者面談にて、学校の先生から強烈な私立高校単願プッシュがあるわけですね。

枯れ葉舞い散る晩秋深まるこの時期に。

「私立の方が指導がきめ細かいよ。」

「〇〇君は私立校の方が向いているよ。」

「私立の方が進学実績が良いよ。」

「単願で決めちゃいなよ!」

と・・・。

ま、その通りって部分もあるんでしょうけど。

タダですね…、これによるリスクって計り知れないですよね?

早い生徒は10月中旬あたりに私立単願に決めますよ、と。

確約も取りましたよ、と。

勉強辞める生徒続出ですよ?

いや、ま、こんな話すると「受験生が早く塾を辞めて売上減るから、おまえは反私立単願派の代表みたいなことを言ってんだろうがッ!」って思われちゃうかもしれないんですが…

幸いにして私の塾はこの時期、中1、中2生のクラスで問い合わせをいただくことが多いので、中3生が抜けた分は下の学年の募集枠に使える事情もあり、そんなにそこは神経質に考えてもいないんですよね。

(たしかに生徒数が少ない時は、やっぱり売上減が相当チラついてたのは間違いないですけど。)

偏差値60オーバーするような私立校ならメリットあるかも分からないですけど…

中途半端に背伸びして単願確約とって、3カ月弱遊び惚けて併願組ととんでもない格差をつけられた状態で高校入試をスタートしましたよ、と。

本当にコレで私立校にいくメリットを享受できるんでしょうか?

そのあたりのこと、学校の三者面談できっちり話をしているのでしょうか?

とりあえず私立校=大学進学が約束される!

そんな馬鹿な話ないでしょ?

(ま、定員割れしている大学なら行けるでしょうけど。ただ、そういう大学だったら公立高校だって行けますよね?)

私立の方が指導がきめ細かいよ?

〇〇君は私立校の方が向いているよ?

私立の方が進学実績が良いよ?

いやいやいや、入学前の3カ月間遊び惚けて抜け殻みたいになったら、それどころじゃないって話で。

さすがに入学して初っ端から学年最下層で始まる生徒たちをそれなりの大学に進学させようって、きめ細かく時間をみっちり使って手取り足取り指導してくれる学校はないでしょ?

(仮にもしあったら、進学実績半端ないですよね。ま、先生たちは超ブラック激務状態になるだろうけど。)

私は全面的に私立単願を否定しているわけじゃないですよ?

でも、残り3か月の大きなリスクを伝えない進路指導はどーなんでしょ?という疑問があるってことで。

もっともっと頑張れる生徒に、「君そこでいいよ。」と成長をストップさせるようなアドバイスって一体なんなんだろうと。

ダメなヒトダメなヒト

いやいやいや、高校入ってからが大事なんだから。入ってから3年間で成長するんだろうよ~。だから私立なんだろうよ~

Mr.MMr.M

いやいやいや、入る前に決着ついちゃうような3か月を提供してどーすんだ?という話なんですよ。

オンラインサロンでも同様の声が続々と…

この学校の先生の超安全志向の進路指導。

オンラインサロン上でも意見が寄せられています。

ウチの地域でも学校の先生の私立単願圧力はすごいですが、学校のレベルによって多少異なります。

「あまりレベルが高くない」と言われている中学校は、より圧力が強い印象。

夏休み前の学校面談で私立単願を学校の先生から勧められ、「うちの子はもう公立は無理だ…」となってしまった保護者もいます。

部活も終わってこれから頑張る時期なのに、可能性を閉ざすようなことをなぜ言うのでしょうか。

Mr.MMr.M

私も全く同じように感じることが大変多いです!

20年間の教師生活の中で、一人も不合格者を出してないことを誇りにする先生もいるらしい。

そういう先生は、とくに超安全な志望校を勧めてくる。

茨城でも良く聞く話なので、全国的なものなのかも…

Mr.MMr.M

スゴイ先生ですね…。あ、いや、プラスの意味でスゴイんじゃなくて、マイナスの意味でスゴイんですけど…。

普通に合格できそうな高校を志望しても、チャレンジ扱いされる。

毎年、学校の三者面談が終わると保護者様から志望校を下げた方がいいか相談がある。

自分は中学校には内申点だけ確認して、受験校については気にしない様にアドバイスしている。

こんな感じの声が届きました。

コレだけしか取り上げないと、「学校の先生は全部が全部、超安全志向の進路指導をする!」というフェイクニュースになってしまうのでちゃんと違う意見にも触れておきましょう。

他のメンバーからの意見では、ちゃんとチャレンジ受験を勧める学校の先生もいれば、「受験はしっかり自分で決めろ。」と不要に生徒の判断に口を挟まない先生もいらっしゃるみたいです。

地域によっては公立推しをする学校の先生が多いところもあるみたいですし。

Mr.MMr.M

「確約」全盛の埼玉県は、超安全志向の傾向がとくに大きいんでしょうかね~?

なぜ超安全志向を勧められるのか?

疑問

学校の先生たちがなぜに超安全志向を勧めてくるのか。

Mr.Mなりに邪推してみます。

私立高校が公立高校よりも指導の質が上回る?

コレはもう、超安全志向の単願プッシュのときは100%言われることですよね。

私立校の方が指導がきめ細かくて進学実績も良い!と。

なるほど、なるほど、確かにそういうイメージはありますよね。

ちょっと本当にそうなのか調べてみようと。

たとえば私立のY高校

一般的に言われる偏差値は55強

早稲田・慶応・上智・東京理科大の現役合格者数が15人

おぉーさすが私立!偏差値55強でこの実績はスゴイ!

ん?待てよ…、確かこの私立は4つもコースがあったな…。

一番上のスペシャルコースは偏差値64前後、二番目のスーパーコースは62前後。(コース名は私が適当につけてます。)

2つのコース合わせて100人超は生徒がいるわけですね~

ん?ということは偏差値55の学校が出してる合格実績と言っていいのか?コレは…。

15人の素晴らしい大学実績を稼いでいるのは、もともと偏差値60オーバーの選抜された生徒たちではなかろうか?

たしかに偏差値55前後の公立校では、このクラスの大学に2ケタの合格実績を出している高校はなかなか見つからないです。

が、スペシャルコース・スーパーコースのレベル、要は偏差値60強の公立校ならどうであろうか?と。

たとえば公立のU西高校、偏差値63前後。

早稲田・慶応・上智・東京理科大の現役合格者数が21人。

たとえば公立のT北高校、偏差値63前後。

早稲田・慶応・上智・東京理科大の現役合格者数が38人。

たとえば公立のK高校、偏差値60前後。

早稲田・慶応・上智・東京理科大の現役合格者数が18人。

たとえば公立のW高校、偏差値60前後。

早稲田・慶応・上智・東京理科大の現役合格者数が13人。

ぬぬぬ…私立の上位クラスと同じような偏差値帯の公立高校なら、ちゃんと同じような実績を出しているとも言えそうな…

ま、単年で比べてたり、大学もずいぶん乱暴に絞ったりしてますので、比較精度としては劣るのかも分からんですが。

いやぁ~でも過剰に「私立の方がよござんす!」って言えるような状況ではないと思うんですよね、こうやって数字を見ていくと。

そりゃ、そのくらいの偏差値帯の生徒たちなら、公立高校だって同じような実績出してますぜ!って言ったっていいような数字だと。

落ちて悲しむ姿を見たくない?

当たり前ですけど、他人の悲しむ姿は見たくないですよね。

可愛い生徒たちなら猶更です。

私だってそうですから、その気持ちは十分に分かりますけど…

ただ、だからと言って強引にその生徒の進路を安全に舵取りしてしまうって…、罪ですよ?

成長止めてしまうかもしれないんですから。

ホントはもっと頑張れるのに、その意欲を削いじゃうかもしれないんですから。

ま、仮にこの理由で超安全志向の進路指導するようなか弱い先生は、ブラックと言われる中学教員の世界では戦えないと思いますけど。

業務が増えるのが嫌だから?

ま、何となくですよ?私の勝手な推測ですよ?

ここが原因なのかな~とか思ったり。

私立単願で決めちゃえば、公立高校の手続きとか必要ないですよね。

それに受かるかどうか分からない公立高校入試の進路指導の質問にも答えなくていいし。

公立高校入試の進路指導って難しいですよね。

バリバリの安全圏の生徒ならまだしも、ギリギリのラインで戦う生徒たちの進路指導はやっぱり難しい。

内申点と当日点のボーダーラインを見極めたり、その生徒が五科のうちどの教科が武器なのかによっても、合否の可能性大きく変わりますし。(とくに埼玉は数・英の学校選択問題が始まってからは、得意教科によって入試に相当影響が出てしまいます。)

ハッキリ言えば、私立単願に決まっちゃえばこういう分析からも解放されるわけです。

たしかに一クラス35人のうち私立単願が半分以上なのか、それとも5人くらいしかいないのか、それによって学校の先生に課せられる業務量はぜんぜん違うような気がします。

中学教員のブラック労働環境は相当なものだと聞きますよね。

少しでも業務量を減らしたくなるのは、当たり前のことなのかもしれません。

「そんな自分勝手な理由で私立単願を勧めるな!」とは簡単に言えないほど酷い状況なのかも…。

私立単願をガンガン勧めて業務量を減らさざるを得ないほどまでに、中学校の先生方も追い詰められているのかもしれないですから…

私学無償化で私立単願を勧めやすい!?

今までは経済的な面で、どうしても私立を勧めることが憚られていた状況もあったと思うんです。

でも、埼玉県では私立高校無償化が始まってその障壁がなくなりました。

2020年4月からは全国で始まりますね。

仮にブラック環境で少しでも業務を減らしたい中学校の先生からしたら、ナイス!な状況になったわけです。

いや、繰り返しますけど、私個人の邪推ですからね、あくまで。

どちらにしても、私立高校を勧めるうえで、経済的な障壁がなくなったのは大きいですよね。

超安全志向が生むだろう弊害

挫折

さて、超安全志向の進路指導、とくになんでもかんでも私立単願を勧める進路指導が、どんな弊害を生むでしょうか?

ま、すでに書いちゃってますけどね。

格差是正のための政策が格差を生むという矛盾

ま、偏差値50未満の生徒が10月時点で私立単願で確約を取ったと。

ここから3か月間勉強をサボるリスクを大して聞かされず、「高校まで勉強頑張るんだよ~」程度で単願受験が決まったと。

ま、勉強するわけないですよね?

私だって同じ立場なら遊びまくりますよ、高校入学まで。

大人だって一緒でしょ?

将来が約束されてれば必死に頑張らないでしょ。

3か月後の人事査定で課長昇格が決まってますよ。もう営業成績全く関係ないですよ。

って言われたら頑張らないじゃないですか。

いや、少なくとも私は頑張らないですよ、だって漫喫で寝てても昇進できるんだもん。

腑抜けになりますよね、当然。

一方で昇進できるかどうか命がけで頑張っている営業マンもいるわけです。

ま、これは大人の話だから良いですよ?腑抜け課長でも十分に飯は食っていけるでしょうから。

でも、中学最後の大勝負を逃げて腑抜けになった子と、大勝負に向けて真剣に戦った子の間についた差は、その後の人生でもどんどん差が広がる可能性は大いにありますよね?で、その差はその子の将来にモロに影響する可能性だってある。

この無償化って制度は、経済的格差によって生じる学歴格差是正を目的としたものですよね。

何か新たな部分で格差を生むような気がするのは私だけでしょうか?

安穏に高校入試を終えてしまう受験生たちと、必死に勝負に向けて努力を重ねる受験生たち。

ま、15歳の勝負をどう終えたかで人生決まっちゃうような極論を言うつもりはないですけど…。

大学現場の声;全体としての学力はますます落ちていく?

オンラインサロンのメンバーの中に大学で講義をされている方がいらっしゃいます。

大変興味深い意見を聞きました。

そちらを紹介して、記事を終えたいと思います。

私が講義をしている大学では入学後に基礎学力を測定するテストを実施し、既定の点数を取れない学生に対してはいわゆる「補講」を強制することになっています。

常勤の先生方の話によると、その「補講」を義務付けられるのはたいてい、付属高校の内部進学や指定校推薦、AO入試で入学してきた学生だそうです。

こういった学生は学力が低いことと同時に、勉強に対する姿勢が中学生と同レベルです。

・「テキストの〇〇から全く同じ問題を出す。」と宣言しても、サッと見てくるだけで解く練習をしてこない。

・テキストを見ながら問題を解くが、見なくても解けるよう覚えるということをしない。

・良かれと思って解答を付けて問題(レポート)を出すと、単に丸写しするだけ。

中学生の話ではなく大学生の話です。

そういう現状を目の当たりにすると、

「こういった学生って、もしかして『高校入試』すらまともに勝負してこなかったんじゃないか・・・」

と思ってしまいます。

 

宿題を写さず自力でやる、宿題を提出期限までに出す、わからなければ教科書で調べる・先生に質問する、テスト前には詰込みでも何でも必死になって勉強する。

こういうことって、当たり前のようにできることではなく、コツコツと努力を重ねてきた人だけができることなんだなと、勉強姿勢が身についていない学生を見ていると思い知らされます。

逆に言えば、こういう勉強姿勢が身についている人というのは、中学の定期テストや高校入試で頑張っていた人なんだと思います。

ただひたすら点数を追い求めて勉強すること、暗記してでも何でも点数をもぎ取ること、成績にこだわること。

これって「本当の勉強」ではないのかもしれません。

でも、こうやって必死になることを通じて身につくことって絶対にあると思うんです。

中学の定期テストや高校入試って大切ですよ。

いい高校、いい大学へ行こうと頑張ることは大切ですよ。

結果的に受験校のレベルを下げることに反対はしませんし、私立校を否定するつもりもありません。

ただ、安易な私立単願は、間違いなく「勉強姿勢の身についていない大学生(未来の社会人)」の量産につながると思っているので賛成できません。

 

学期末には学生にアンケートを取るのですが、このアンケート結果がまた中学生レベルなんです。

少し例を挙げると、

・授業の中で小テストがあり、身に付いたか確認できて良かった。

結構多いコメントです。

真面目な学生ではありますが、自分自身で小テストのように勉強してできるようになったかの確認ができないんです。

 

・講師と学生とのコミュニケーションがいまいちだった。

彼らの言うコミュニケーションとは、「わからないところを手取り足取り教えてくれ」ということだと認識しています。

大学で行われるのは「授業」ではなく「講義」なので、講師が学生の側にまで寄り添って手取り足取り教える必要は本来無いと思っていますが、彼らからすれば、「それをやらない講師は悪」なんです。

学生を大人扱いして厳しく接すると、「不親切」「意地悪」としかとられません。

「大学生になっても『個別指導』がないと勉強できないのか・・・」とガックリします。

小テストをこまめに実施し、机間巡視などをして困っている学生にこちらから声をかけるなどの対応をするとアンケート結果が上がることはわかっているのですが、果たしてそれでいいのか、迷いながら指導をしています。

ま、安易に単願入試で終わらせたって将来立派になる人もたくさんいるとは思いますが…。

リスクはしっかり伝えないといけないですよね。

中学3年生、まだまだ分からないことがたくさんあるんですから。

で、私のようなオッサンとは比べ物にならないくらい大きな可能性があるんですから。


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