今回の記事は、埼玉県の高校入試において基礎の基礎となるテーマについて書いていきます。

ズバリ、確約について。

前置きはなしにして、早速”確約”について説明していきましょう。

私立高校の確約とは?

私立高校の確約

読んで字のごとく「ほぼ確実に合格するという約束」と思ってもらっていいかと。

えっ?事前に合格を約束するなんて良いの?

って思う方もいらっしゃるかと思います。ま、その辺りは私立高校側も「確実に合格を約束しますよ。」とは決して言いません。

つまり、”確約”というのは世に広まっている通称であって、私立高校側が”確約”という言葉を使うことはありません。

私立高校側が使う言葉としては、「合格の目安」とか「入試相談基準」とか。ま、ぼやかした表現にはなりますけど、これらが”確約”の基準です。

これは確約なの?不安になる「大丈夫です。」という言葉。

毎年いるんですが、保護者の中には私立高校側から出された”確約”に不安になられる方もいるんですね。

というのも、さっき言ったように私立高校側は「はい、あなたは確約です!」とは言わないからです。

言葉としては、「この成績だったら大丈夫でしょう。」みたいなニュアンスが多いかと。

で、学校によっては何か書類をもらったりすることもありますけど、何もない場合もあります。かなりあっさり終わるので不安になっちゃうんですよね。

これは逆のケースを考えると実は分かりやすい。

確約をもらえなかった場合は、ちゃんと私立高校側は伝えてくれます。

「この成績では偏差値があと〇〇足りません。」的な感じで、確約を出さない場合は結構細かい説明をしてくれるのです。

「あと〇〇足りないので、取っている検定とかはないですか?」などと聞かれる場合もあるでしょう。

「次の北辰テストで、偏差値を〇〇取れたらもう一度来てください。」と言われることもあります。

つまり、確約を取れなかった場合は、確実に分かるように伝えてくれますので、「えっ?大丈夫って言われたけど、本当に大丈夫なの…?」って感じのときは、まず確約が取れていると考えていいかと。

確約を取るのに必要なものは何か。

分かりやすく説明するためにとある私立高校の例を少し変えて(ドンピシャで示すと怒られそうなので)挙げましょう。

通知表の取り扱いについて

3年生の1学期、または2学期とする。(成績の良い方で相談できる)

・3科目・5科目・9科目を対象とする。

・単願、併願ともに9科目の中に「1」があると相談できない。ただし、1学期に「1」があっても2学期に「1」がなければ、2学期の成績で相談できる。

・併願の場合は、5科目の中に「2」があると相談できない。

業者模試・中学校で実施する校長会テスト(地区別)の取り扱いについて

3年生の7月以降に受験したものを対象とする。

・3科目、5科目で上位2つの成績の平均を相談に採用する。

■特別活動の取り扱いについて

・5科目に加点できる値は「最大1」、9科目に加点できる値は「最大2」とする。

・複数の特別活動があっても最大値を超えて加点することはできない。

・個別相談時に確認できる資料を必要とする。

ま、これがある高校の”確約”に関する説明書きですね。このような説明書きに従ってそれぞれの学校が”確約”を出す基準を持っています。この学校の基準を一部数字を変えて示しましょう。

■単願受験の確約

特進コース 通知表5科目合計19+偏差値64 もしくは 偏差値65

選抜コース 通知表5科目合計16+偏差値54 もしくは 偏差値56

進学コース 通知表5科目合計15+偏差値52 もしくは 偏差値54

■併願受験の確約

特進コース 通知表5科目合計20+偏差値66 もしくは 偏差値68

選抜コース 通知表5科目合計18+偏差値56 もしくは 偏差値58

進学コース 通知表5科目合計17+偏差値54 もしくは 偏差値55

上記のような形で、各私立高校がそれぞれハッキリと確約の基準を設けています。(上記の数字を見て、こんな学校ねぇ!とか、数字がおかしいとか言わないでくださいね。学校を特定されないためにも数字は微妙に変えてますから。)

単願受験と併願受験の基準を比べれば一目瞭然ですけど、単願受験の方がかなり基準が低くなっています。「単願受験=受かったらその学校に必ず入る受験」であれば成績についてかなり私立高校は優遇してくれるということです。

この私立高校の説明を見ると、大体必要なものが書いてありますが、一つずつ詳しく見ていきましょう。

北辰テスト

業者模試というのは、埼玉県の場合、ほとんどの生徒にとって北辰テストを指します。

ただ、北辰テストの結果もすべてが採用されるわけではなく、7月、9月、10月、11月、12月の成績の上位2つの平均の数値が採用されることが多いです。

※学校によっては第1回からの北辰テストの成績も評価の対象とする場合があったり、すべての私立高校が一律に同じように判定するわけではありません。

学校の通知表

3年生の一学期の成績を使う生徒が多いとは思いますが、多くの学校で3年生二学期の成績も見てくれます。つまり冬休み直前まで待ってくれるということですね。

注意点としては、ほとんどの学校で通知表の「1」はアウトということ。ある程度のレベルの学校になると「2」もアウトになる場合があります。

北辰テストの偏差値を重視する高校が多いですが、中には学校の通知表のみで判定してくれる高校もあります。

個別相談会(入試相談会)

各私立高校が開催する個別相談会に「北辰テストの結果」や「通知表のコピー」などを持参して、”確約”がとれるかどうかの相談に行きます。

ま、相談とは言いつつ、ほぼ確認です。

「話す内容によって、確約の可否に影響しないかしら…」という保護者様もいたりしますが、心配無用。

「北辰テスト」や「通知表」で、基準に達しているかどうかの確認をするだけです。基準に達していれば確約が出ますし(例の「大丈夫でしょう。」という言葉が出ます)、達していなければどのくらい達していないかなどを教えてくれます。

予約が必要な場合もありますので、各学校のHPを確認してください。

その他

他にも加点をしてもらえる要素がいくつかあります。私立高校によってそれぞれ違いますが、代表的なところで、部活動の全国大会、関東大会、県大会出場、部活動の部長経験者、作品展の入選、英検、漢検、数検、珠算、生徒会の役員経験者、各委員会の委員長経験者、3年間皆勤など。

この辺りは私立高校の学校説明会に行くのが趣味な塾講師の方がぜんぜん私より詳しいと思いますが、私が聞いたことのある「えっ?こんなのも加点されるの?」という意外な要素としては、塾の先生の名刺、なんていうのもありました…。

確約は複数もらってもいいのか?

確約はいくつもらっても大丈夫です。

単願の確約ですら複数もらっても構いません。

ただし、注意点は単願の確約をもらって、その学校を受験するとき。

単願とは合格したら、その学校に行くという受験です。

で、単願の確約をもらっている限り、ほぼ確実に合格します。ということは、その学校に行かないといけないのです。つまり、単願の確約をもらって出願するのは一校のみ、となります。

くれぐれも複数校の単願の確約をとって(ここまではOK)、複数校に単願の出願はしないように!

一方で併願の確約はもちろん複数校もらってOKですし、併願の確約の場合はいくつ出願しても大丈夫です。

確約を取っても落ちる場合はあるのか?

ほぼないです。「ほぼ」ってつけていますが、少なくとも私が学生時代にこの業界でアルバイトを始めてから、大手塾勤務を経て、そして今に至るまで確約をもらっておきながら落ちた生徒は一人も知りません。(知り合いの塾の先生から、落ちた生徒の話を聞いたこともありません。)

毎年、毎年、聞くんですよ。「確約をもらっていても落ちる生徒がいるぞ。」っていう噂。

辿ってみると、どこの誰さんなのかは分からずじまい。都市伝説的なんですね、毎年、毎年。

おそらく複数校受験をさせる大手塾が言うと思うんです、「確約があっても落ちる可能性があるから、少なくとも2校は受験しておこう。」って。まあ、確約を複数校もらって、複数校受験すれば確実にそれだけ合格実績が稼げますから。私立高校でも合格実績を稼ぎたい塾なんかは平気で言うでしょうね、「確約でも落ちる場合がある」って。

心配な方は『高校受験案内』など、受験情報誌で過去3年間の応募状況とか見たらいいんです。多くの私立高校で倍率が1.0倍になってますから。1300人受験のところ合格者が1290人とかになってるはずですから。

10人落ちていますけど、10人くらいは確約をもらっていない受験生もいますからね…。

(ここからは本ブログのコアな読者のための内容です。)偏差値50半ばの私立高校単願の確約を勧める塾のスタンスを疑う。

偏差値65前後の私立高校ならいざ知らず、偏差値50半ばくらいの私立高校の単願受験を強烈に勧める塾ってのは、どうなんでしょうね。

このくらいの私立高校の単願の確約を取った生徒が、高校入学前にどんな末路を辿るのかは埼玉県で3年も学習塾業界に携われば分かるはず。

これについては過去に記事にしていますけど、改めて書かせていただきますよ?

偏差値50半ばの私立高校って、単願受験にしてしまえば結構強引に入れたりしますよね?なんか色々理由付けて加点してもらって、それこそ一回も北辰偏差値で50を超えたことのない生徒が入れちゃったりする訳ですよ。

で、そういう生徒が10月半ばで単願の確約とって?で、そこから勉強しますか?いや、勉強しないから偏差値50も行かないんですよね?勉強嫌いだから偏差値50も行かないんですよね?

まず十中八九、遊ぶわけです。4月の入学式までフルパワーで遊びつくすわけです。で、偏差値50半ばの高校生活が始まるわけです。偏差値50も行かなかった生徒が10月、11月、12月、1月、2月、3月のおよそ半年弱、遊びに遊んで偏差値50半ばの高校に進学するという事実。

埼玉県で塾業界に1年もいればこういう現象はおおよそ分かるでしょ。3年もいれば確信しているはず。

成績を伸ばそうという姿勢がない。

成績を伸ばして、その生徒が持っている可能性ギリギリまで高いところに勝負をさせるという気概がないんです、こういう塾は。こういう偏差値50半ばの私立高校の単願受験を強烈に推し進めちゃう塾ってのは。

もちろん、博打はダメですよ。生徒の人生において大きな勝負なんですから、可能性のない博打をしろってレベルの低い話ではないんです。

そうじゃなくて、可能性のギリギリのところまで伸ばして、それでもなお届かなそうなら適切な進路指導をすればいいじゃない?という話なんです。

「偏差値50未満の生徒が偏差値55弱の私立高校の確約を取るのだって、可能性ギリギリの勝負じゃないか!」って?

いや、それは断じて違う。それはただ、偏差値50未満の生徒がその時点で持っている材料を元に、ギリギリ入れる高校を探して確約を取っただけ。学習塾って、生徒が持っている偏差値や材料を元に、ギリギリ高い偏差値の高校を見つけてくるのが役割なんですか?それってのは、ある男性に会いそうなお嫁さんを紹介する結婚相談所と何が違うんでしょうか?

もちろん、最後の最後では適切な進路指導(受験校の選定)をしないといけませんけど、われわれの仕事の核は、偏差値50未満の生徒がいたとしたら、その生徒を何とか希望の偏差値55まで伸ばすことなんじゃないですか。

われわれってのは学校を紹介する相談所ではない(最終局面でそういう役割もありますが)。希望の学校に相応しい生徒になってもらうために、指導すること、追い込むこと、励ますことのはずなんです。

ま、個人的には公立高校の実績がたいして出ていないのに、100%第1志望合格!で、私立の偏差値50前後がたくさん並んでいる塾ってのは、そういうイメージを持ちますよね。

自分の指導に対してのプライドがない。

10月半ばで勉強を辞めさせるような選択を、塾自身がさせてしまうという行為。いいんですか?悲しくないんですか?

一生懸命、中3の秋までその生徒を追い込んで来て、いよいよクライマックスを迎える時期に「よ~しコイツなら、あと4カ月でまだまだ伸びる!」そうやって思わないんですか?

どうやって最後の追い込みをしていこうか。今日はどういう声がけをしてやろうか。

塾講師としてのやりがいが詰まった最後の3,4カ月。

私立単願でプツリ…。それってプライドある仕事ですか?

もちろん、言うんでしょうけど「単願受験であっても落ちるかもしれないから勉強の手を抜くなよ!」「合格が決まっても勉強しないと高校生になったときに困るから塾を辞めるなよ。」みたいなことは。

でも、そこに熱意はないですよね?最後の最後、公立高校受験に対する指導の熱意と比べれば、それこそ10分の1以下の熱意しか持てないんじゃないですか。

コイツの成績を上げてやる、って気持ちよりもむしろ「塾を辞めないでもらいたい。高校生になっても続けてもらいたい。そのために何とか引き止めないと…。」みたいな気持ちの方が強いんじゃないですか。

いや、塾だって企業です。売り上げは必要です。生活のために生徒からの月謝は喉から手が出るほどに欲しいのは私も一緒です。でもね、大手塾じゃないんです。そんな気持ちでやってて果たして生徒を集めることってできるんでしょうか?

指導に対するプライドをなくしたら、いずれ生徒だってなくすでしょ。で、そんなプライド持てない仕事じゃ、スタッフだって離れていくでしょ。

まとめ

埼玉県の学習塾経営者、もしくは学習塾業界で1年も働けば「何を今さら確約何てテーマで記事を…」と呆れられちゃうとは思ったんですが、脱サラ組とか、移住組で万が一「確約って何?」って人もいるかもしれないじゃないですか。

私のブログはそういう塾業界初心者の人たちにも読んでもらいたいのですッ!(いや、アパート1室経営なんて銘打ってブログ運営してるんですから、むしろ初心者の人たちの方が読んでためになることは多いのかも?)

よって、読者の中には「いいよ、いいよ、今さら確約の話なんて。」って方も多いとは思いましたけど、敢えて書かせていただきました。

ま、何を間違えたのかネットサーフィンで迷った中学生やその保護者がこの記事にたどりついて、ちょっとでも役に立てばそれはそれで嬉しいですし。(でもって私立単願の確約を取ることのリスクを少しでも多くの方に分かってもらえれば、それはそれでこのブログをやっている意味もありますしね。)

ただ書いてるうちに、結局はいつものMr.M調というか、確約制度に対する批判というか、確約に甘える塾への疑問というか…。そんな感じになっちゃいましたね。

ま、前半はライトな読者向けに、後半は定期的にこのブログを読んでいただいているコアな読者向けに、というテイストで…。