接客力

茨城県で個人塾の講師をしている方からメールをいただきました。

非常に有難いメールで、記事の乱れを指摘していただき修正することができました。

お礼のメールを送っているのですが、受信設定の問題からかメールを送信することができません。

この場を借りてお礼を申し上げます。

S様、有難うございます!

さて、本日は塾のチラシの校門配布に関して。

私が以前に勤めていた大手塾では、門前配布、略して門配(もんぱい)と呼ばれていましたが。

皆さん、チラシの校門配布しますか?

私は相当に校門配布に対して懐疑的な意見を持っています。

個人塾が校門配布で活路を見出すことなんてできるんでしょうか?

校門配布の5つのデメリット

私も大手学習塾時代にやったことがあるんで、そのデメリットについてはある程度理解しているつもりです。大手学習塾時代、若き日のMr.Mを思い返すと5つのデメリットが浮かび上がってまいりました。

時間の無駄

前日の夜からやっつけ感満載でチラシを用意するわけです。

ま、単純にチラシだけじゃなくて、ビニールの封筒に塾の名前が入った消しゴムだとか、鉛筆を入れるわけですね。

授業終わってから、200部も300部も入れるわけですよ。

ただの封詰めといったって、夜中0時を回ったエネルギーゼロ状態でやりますからね。ダラダラダラダラ…。ま、終わるのが午前2時とか。(校門配布の前日ってだいたいタクシーか、車通勤の室長に送ってもらってましたね。)

で、その次の日は朝から校門の前にスタンバイ。だいたい校門配布ってのは入学式にやるわけです。ピカピカの一年生に対して、ドロドロのゾンビ化が始まった塾講師たちが、申し訳程度に消しゴムや鉛筆が入ったチラシを渡すわけです。

入学式が終わる時間をだいたい見計らって、30分前くらいから校門の前に待機。で、出てくるピカピカの一年生に、塾講師たちが営業をかけるという痛ましい光景。

で、コレ、なかなか生徒たちが出て来んのですよ。入学式終わったって、色々あるじゃないですか。担任の先生の話とか、友達同士の話とか。われわれ塾講師ゾンビたちは1時間半とか平気で校門の前にいるわけですよ。前日、たいして寝てないのに…。

4月初旬って結構寒い日あるんで、もともとトイレの近いMr.M的には生徒が出てくる丁度そのタイミングで限界来るとかあるわけですよ。我慢しながら笑顔でチラシを配るとか…。

コレ、いったい何の苦行だ?って。他にやることあるだろって。今思うと、超時間もったいねぇなって。

金の無駄

チラシの印刷だって微々たるものかもしれないですけど、金はかかります。封筒代だってかかりますよね。で、チラシだけで校門配布を敢行する強者はなかなかいないわけで。

さっきも言いましたけど、だいたい消しゴムだの鉛筆だのつけるわけです。ノベルティという奴です。

大手塾なら巨万の宣伝広告費の一部でしょうけど、個人塾だと結構な出費じゃないですか?

ボールペン200本制作って言っても、20000円とかするでしょ。

いや、正しい投資なら20000円は安いと思いますけど、校門配布のボールペン200本に20000円はハッキリ高い。

コレ、このボールペン200本に20000円かけておいて、塾のホームページが無料のレンタルサーバー使ってたり、名刺が自作のしょぼいヤツだったりとかって金の使う順番が違うと思う。

20000円あれば十分に「高速のレンタルサーバーが借りる+ラクスルで名刺作る」ができますからね。

塾のイメージダウン

ハレの日ですよ、入学式というのは。

おめでたい日ですよ、入学式というのは。

祝いの日の主役に、チラシなんか配ってイヤらしいッ!こんな日くらいそういうの辞めてくれないッ!?

そうやって思う人いると思うんですけどね~。

想像しちゃいますよ、今の自分が校門配布をやったらどうだろうって。

多分、お客様を失望させると思うんですよね。

「あぁ、うちの塾の先生、何かイヤだな。卑屈だな。そういう姿、見たくなかったな。」って。

入学式の日に校門前で必死に「お願いしま~す!」と叫ぶ先生…。

尊敬できますか?

いや、尊敬されるために塾の先生やってるわけじゃないですけど、やっぱり人から何か教わるってときに少なからず「敬意」って大事だと。その大事な部分を自ら潰しに校門前にいざ出陣するんですか?

な~んか目先の売上によだれダラダラ感が漂うというか…。

そんな先生がいる塾には行かせたくないというか…。

いや、コレ大手塾ならいいんです。やっぱり大きい会社に対する理解って保護者の中にはあるような気がするんですよ。「あぁ、先生若いからこういうことやらされてるのね~。先生も大変ね~。」みたいな。

実際、私が大手塾勤務で校門配布をしたときは、「あら、先生。大変ですね~、こういうこともやらないといけないんですね~。頑張ってください。」なんて声かけられたりしましたから。

でも個人塾がやるって…何かヤダ…。

だって個人塾って「親身になって生徒の心に寄り添って」的なイメージあるじゃないですか。個人塾の先生方が集まれば、二言目には言うじゃないですか。「大手は儲け主義、個人塾は生徒主義」みたいな。(生徒主義って一体何?という問題は置いておいて。)

そんな感じなのに校門配布って…。

大手塾とは比にならないくらいのイメージダウンにつながるような気がします。

そもそも校門配布って学校側から嫌がられてて、大手塾時代の私の教室所在地の隣の市が、学習塾に対して「入学式の校門配布はやらないように。」という異例の通達を出したという話もありますし。なので隣の市にある教室は、その年の校門配布を免れたという…。

皆言ってましたよね、「〇〇校、超羨ましいッ!」って。

相当に疲弊する

校門配布を経験した人なら100%知ってることですけど、チラシが至る所に捨てられるわけです。中の消しゴムとか鉛筆だけ抜き取られて。

でね、中学生なんて残酷な生き物じゃないですか。あえてこっちが見えるところで、チラシをぐしゃぐしゃにして捨てるわけです。もうね、活きがいいヤツなんか捨て台詞まで吐きながら。

「金儲け塾は消えろ~ッ!」とか。それ聞いてる周りのヤツもギャハハハとか笑って。でもって、そういう悪ふざけが連鎖し始めて…。

疲れるわけですよ、相当に…。ただでさえ寝不足なのに。

で、あらかた校門配布が終わったら、そこらかしこに捨ててあるチラシを拾い集めて。もうね、側溝とかにねじ込んであるやつとか見ると、「俺、何やってんだろ…?」とかちょっと人生論に思考が偏りそうになったり。

大手の真似事

で、この校門配布ってのはしょせんは大手の真似事なんですよ。大手塾は皆やるじゃないですか。その後追いなんですよ、個人塾が必死こいてやったところで。

ビニールの封筒の中味、個人塾はせいぜい消しゴムか、鉛筆か、定規でしょ?

大手塾はやろうと思えば消しゴムと鉛筆と定規をセットで入れるわけです。

個人塾は塾長一人で配るわけです。せいぜい、忠誠心のある一人、二人のスタッフが協力してくれるだけ。校門配布ができる学校だって1校だけ。

大手塾は営業エリアの全ての中学校に2,3人ずつ配置するわけです。

勝てるわけがない。資金も人員も歯が立たないんだから。

お客様対応とか、教室の整理整頓とか、そういう部分は大手塾に学ぶところはたくさんあると思いますけど、この手の戦術を真似したって駆逐されるだけですよ。

校門配布って何気に惰性でやってる部分あったりしません?「大手もやるからウチもやる。」とか、「学習塾たるもの校門配布はやるものだ。」とか。下手すれば「校門配布みたいに嫌で苦しい仕事をやることでいつかきっと報われるだろう」的な変な宗教観もってたりしませんか?

校門配布の効果と使いどころ

集団指導は少ない

私が大手塾時代に校門配布に出かけてゲットした生徒は1人だけです。

一回だけの記録じゃないですよ?

通算して1人だけなんです。

で、この1人をゲットして周りの教室の先生に褒められたんです。

「Mが門配で生徒を獲得したってよ!」みたいに。

コレで効果あるって言えますか?

どれだけの人数、どれだけの時間、どれだけの金を動員してゲットできた1名なのか…。

これで効果あり、なんて口が裂けても私は言えんのです。

(もしかしたら、私の会社が門配下手くそな会社だっただけかもしれませんけど。)

まぁ、仮に校門配布を行うとしても、ホント、開業初期だけかなって。

いかんせん、個人塾は名前を知られていません。まず、ちょっとでも認知されるために、って意味でだったら良いような気はします。

個人塾においての校門配布の使いどころはそこだけかなって。

だってブログもろくに更新してないのに、校門配布で時間を使うのって矛盾してますよ?ブログをたくさん更新してホームページの検索順位を上げた方がどれだけいいか。

金だってさっき言ったように使うべきもの、他にたくさんあるでしょ?

でもって精神的にも疲弊する。とくに個人塾経営者の人は、マジでここは考えた方がいい。校門配布するために自分はわざわざ独立開業したのか?って。リスク背負って独立を選択した未来が毎年の門前配布なのか?って。

思うんですよ、校門配布で売り上げを挽回できることなんてあるのかなって。校門配布しないと生徒が集まらないようなら、それって内部の商品力が相当にヤバいってことじゃないですか?だったら、ハレの日に校門前まで行って、ヨダレダラダラの姿晒してたら余計ダメじゃないですか。それこそ、校門配布に使う時間と金をお客様の満足度を高めるために投資しないと。

私は独立してから一回も校門配布はやったことがありません。なので皆さんに言いますけど、校門配布なんてやらなくても、アパート1室開業から私くらいまでにはなれます。(ま、私ぐらいじゃ大した生活はできないですけど。)

校門配布なんてクソ嫌なことをやらないでも、お客様に支持されてお客様が集まってくれる方法を考えること、そのために誠心誠意努力すること、そっちの方がよっぽど仕事が楽しい。と、思うんですけど…

まぁ、校門配布の得も言われぬドキドキ感が好きだとか、チラシが破り捨てられることに快感を覚えるって人なら別ですけど…。普通は個人塾経営を選択する人って、私と同じでやっぱり校門配布とか心を削られるような営業活動ってやりたくない人の方が多いと思うんですよね。だったら、そういうことはやらない、やらないでも済むようにどういう商品を作り上げていくかってことに注力した方が、時間も金も健康も人生も、無駄にならないような気はします。