先日の記事でお友達講師の話を書きました。

その際、「授業で最も大切なのは雑談である!」と主張するお友達講師は言語道断って話をしましたけど。

ま、その主張にウソ偽りはないです。雑談ってのは必要不可欠なものでは全然なくて、あくまでも授業の付属品。できればやらない方がいい。だって雑談の時間って現実、正当な指導内容の時間を潰すわけでしょ?

でも、相当の授業スキルがない限り、たとえば90分の授業、スタートからゴールまで生徒の集中力MAXで突き抜けることって難易度超高い。そこで、生徒のエネルギー補充、気分転換、そのためにやむを得なく雑談を放つのです。

それこそ雑談は授業にとっての必要悪。その前提に立たないとお友達講師じゃないですけど、雑談してればいい、みたいな逃げの一手に頼ることになるでしょ?正当な授業展開のスキルアップにつながらないでしょ?

これね、実は自分自身反省があって、私の代名詞って雑談、ってくらい卒業生たちは「先生の雑談面白かった。」って言ってくれるんですね。全然喜ばしいことじゃなくて、やっぱり雑談に逃げてんだなって。そういう言葉聞くたびに、自分ってまだまだ塾講師としてしょぼいなって。

私は決して雑談をすることは勧めませんけど、一応、雑談ばっかりしてきた身分として、自分なりにタダのおしゃべりにならない、雑談の秘訣を偉そうに語ってしまうことにします。改めて言いますけど、雑談なんか本来ない方がいいんですよ…。

雑談の内容は公共性のあるものを。

ゾンビの会議

雑談には「公共性」が必要だと。

ちょっと誤解されるかもしれません、何も良い子良い子のためになる豆知識的なことを言ってるわけじゃないですからね。

話題なんか何でもいいんです。何でもいいんですけど、一部の生徒だけ得するような話題は絶対ダメ。たとえば、流行ってるゲームの話とかテレビ番組の話とか。ま、今だと動画とかユーチューバーとか?

これって知らない生徒もいるんですよね。知らない生徒にとっちゃ「身内だけで盛り上がんなやッ!オッサン!」って感じで嫌なんです。

私のおススメの話題は、誰も知らない話。小中学生じゃまず興味のない話。みんな知ってる話でもいいと思うんですけど、一クラス生徒15人全員がまんべんなく知っている話を見つけるって結構難しい。そうすると、修学旅行とかの話になっちゃう。で、修学旅行の話って結局、そのクラスで大多数を握ってる学校とかのグループが発言権を持っちゃう。「身内だけで盛り上がんなやッ!」カムバック状態。

誰も知らない話なら、こういう危険性がない。全員が聞き手として平等。

たとえば私が持っている話題としては、飯能焼の素晴らしさ、埼玉西部地方の穴場観光スポットの素晴らしさ、芝生の張り方、生命力の強い雑草のレベル別一覧、自分の同級生の面白エピソード、おいしいコーヒーとコーヒーの淹れ方に関してのこだわり、などなど。(いくら生徒が知らないって言っても、宗教関連、政治関連は危険性が高いんで絶対使わない方がいいです。)

全員が聞き手としてゼロからのスタートですから。身内だけで盛り上がるってあり得ない。

雑談中は生徒同士の話を絶対に認めない。

ダメ講師

雑談中に認めちゃいけないのは、生徒同士の話。

これ、実際に声に出してなくても、たとえば生徒同士がアイコンタクトで何か笑いあったりしても同じ。

私はその瞬間、雑談を止めます。

「えっ?何?そこの二人、話したいことあんの?じゃいいよ、話して。え?ないの?じゃ授業進めま~す。」って。

授業進めちゃいます。これね、クラス全体からすると、この二人の罪深きは相当のものですよ。せっかく授業時間が少し縮まる雑談のタイミングで、それ、台無しにするんですからね。私じゃなくて、休み時間中に生徒に生徒が焼かれます。

中1の前半とかはしばしばそういうことも起きますけど、生徒も私の授業展開とかリズムとか空気感に慣れてくると、わざわざ自分から授業時間が短くなる雑談を潰しにはかかりませんよね。「あ、来た。この感じ。雑談入るな?ちょっと息抜き。」って感じで、一応注目してくれます。で、あえて罪深きアイコンタクトなんかする輩はなかなかいませんよね。

とにかく、雑談中に生徒同士の会話を認めてしまうとおしゃべりになる可能性がかなり高いんです。で、おしゃべりは公共性がないんで、そのおしゃべりの部外者からするとうるさい。ま、不快なんです。雑談するときは、この点はホントに気を付けた方がいいですね。

内容ではなく、パフォーマンスでひきつけろ!

さっきの私の雑談の持ちネタを見てもらえば分かると思いますけど、全然中学生には興味のないものばっかりなんです。これね、内容で勝負しようとしたら、まず負けます。スタンスとして芝生の張り方って面白いんだよぉ~、って本気で伝えようと思ったら、まず生徒たちは欠伸です。

だって芝生は高麗芝を買えとか姫高麗買えとか、土は何㎝掘って肥料入りの芝生用の土買えとか、水はけ良くするために砂も敷けとか、エアレーションやれとか、サッチングはめんどくさいぞとか、究極的につまらないじゃないですか。

実際、先日話したのはコーヒーの淹れ方について。私はハナから生徒たちにコーヒーの淹れ方を伝える気なんかサラサラありませんよ?こうやって淹れたらおいしいコーヒー飲めるんだぞぉ~、なんて寒すぎるオッサンじゃないですか。

ここはね、パフォーマンスなんですよ。キャラ設定も相当大事なんですけど、話の内容なんてどうでもいいんです。自分と観客が作り出すわずか5分のエンターテイメントを行うつもりで話すんです。

ま、私のキャラ設定として、訳の分からないことを無駄に熱く語るオッサン、みたいなところがあるんですね。それを最大限に利用する。

私「あのね、コーヒーの淹れ方でね、ちょっと物申したいことあるんですけどね。」

生徒「いきなり!?」

私は雑談を唐突に始めるタイプの講師なんですね。

ハイっ、今から雑談始めま~す。皆さん、聞いてくださ~い。ってやるとハードル高くなっちゃうじゃないですか。面白いこと言わないとダメみたいな。

何の前触れもなく、脈絡もなく始めると、「コイツ、大丈夫か?」みたいな感じで結構ハードル低く始められるんですよね。で、奇妙な雰囲気に持っていけるというか。

私「あのね、〇〇先輩いるじゃない。アイツね、コーヒー淹れてくれんだけどね。雑なんですよ!コーヒー淹れるじょうろみたいなの、私わざわざ買ってるんですよ!なのにね、アイツね、電気ポットから直接コーヒー淹れるんですよ!何で?何でわざわざゴボゴボなる方でやるの?おかしいだろ!?じょうろ使ってまず20秒蒸らせよッ!チョロチョロやれよッ!そう思うでしょ?私、間違ってます?」

生徒(…コイツ、何をどうでもいいことでムキになってるんだ?)

私「でね、あいつね、コーヒー淹れ終わった後、ちゃんとコーヒーのケース閉めないんですよ?コーヒー専用の容器わざわざ私買ってるんですよ?甘いんですよ、閉めが!ちょっとね、皆さん実際に見てもらった方がいいかな?」

で、コーヒーの容器持ってきて閉めの甘さを実演。

私「分かる?なんであと5ミリ、グッと閉めない、〇〇先輩?ホント、こういうところ理解できないんですよ、私は。5ミリよ、5ミリ。この5ミリに何の手間があるって言うの?おかしいでしょ。コーヒーってね、酸化するんですよ。酸化したらね、クソマズくなるんですよ!酸化は絶対にダメなんですよ!

生徒「酸化って理科で習ったやつですか?」

私「コラっ!今は理科の話なんてしてない!そんなことはどうでもいい!今はコーヒーをおいしく飲むために〇〇先輩の意識が甘いって話が大事なんでしょう!?理科とか社会とかね、真面目なこと言ってると怒るよ!

生徒「いや、ここ塾じゃないっすか…?」

私「じゃあ聞くけどね、塾ってのはコーヒーの淹れ方、しまい方について一切話しちゃいけない場所なのかい?君たちの心はそんなにも狭いのかい?」

生徒「もういいから授業始めましょうよ…。」

私「コラァァァ!私の話を聞け―ッ!」

みたいな流れ。

私の塾では結構パターンなんです。

このパターン来たときは、生徒たちも暗黙の了解で変なオッサンの変な話を聞いてあきれて笑う。

観客と作り上げる共有された一種のパフォーマンスって言うんですかね。

豆知識的内容でひきつけようとすると口調とか、リズムとか、雰囲気が結局、授業調になっちゃうじゃないですか。生徒はそもそもその授業調に疲れているんですから、それ自体、変えないといけない。

雑談って言いますけど、私としては「話」に焦点をあてない。「場」ですよね、「場」の転換。たかだか5分程度ですけど、生徒の気持ちをリフレッシュするための「場」の転換なんですね。

ま、これは根本的に小中学生ってwikipediaよりも、youtubeの方が好きでしょ?豆知識の方が勝つなら、wikipediaが小中学生にも流行ってるはずなんですよ。でも、wikipediaをこよなく愛する小中学生って、ちょっとなかなかいないですよね?だから私は豆知識的な方向性を重視しない。だって雑談の目的は気分のリフレッシュであって、雑学注入することじゃないんですから。

綿密に計画を立てろ!

悩み

で、さっきの例ですけど、一見非常にくだらなくて場当たり的に思われるかもしれませんが、実は何をどう話すかについては、何時間も前から計画を立ててます。

私は芸人ではありませんからね、アドリブでポンポンそういう話ができるほどユーモアはないんです。

そんな奴が、「場」の転換を決行するには計画は絶対に必要。

さっきのコーヒーの話も途中で、「酸化」っていう言葉がありますよね?これね、中1で言ってもしょうがないんです。中1は「酸化」をまだ習ってない。つまりね、中1で話しても「酸化って理科で習ったやつですか?」という生徒からのツッコミ的なやり取りが期待できない。

この話に関しては「酸化」のキーワードがある限り、中2以上で使うべき。で、この「酸化」に生徒が引っかかることを期待しますが、仮に生徒が「酸化って…」のツッコミが来なかったとする。そしたらね、「酸化っていうのはね、この前理科でやった鉄の酸化とかマグネシウムの酸化とか…、おいっ!今は理科の話してるんじゃねぇんだぞッ!分かってんのかッ!この野郎ッ!」って前の列に座ってるいじりやすい生徒をいじることで、生徒からのツッコミの代替を用意しておくとか。

話の部外者が出ないように、大人しい生徒には話のこのタイミングで「な、〇〇さんもそう思うだろ?」って一言振るとか。ここでは誰を見て話すとか。そういうことまで準備する。

雑談って最初にも言いましたけど、絶対に授業のメインであってはいけないんです。必要悪なんです。それでもやらないといけない。なら、相当にこだわらないといけない。時間はできるだけ短く、そして効果は最大限に。場当たり的にやっていいほど、軽いもんじゃないと。

落語じゃないですけど、鉄板的な雑談がいくつかあって、それをその年その年でカスタマイズして、生徒とのやり取りの計画を立て、イメージトレーニングをして、で、満を持して決行。みたいな。

Mr.MMr.M

結構ね、大変なんですよね。

最後までやり切れ!そして余韻を残すな!

覚悟

さっきのコーヒーの淹れ方の話ですけど、これ、自信なさげに、生徒からのリアクションを過剰に期待して話し始めると寒いです。それはそれは、信じられないほど寒く終わりますから。で、アイツの話、クソつまらねぇって評価、来ちゃいます。

思い出します。高校時代。古文の初老の先生が、授業の始めに毎回時事ネタ的な雑談入れてくれるんですよ。でね、その雑談がね、クソつまらねぇわけです。ボソボソ話して、途中途中で「皆さん、この話知ってるかな?」的な反応求めるんですけど、まあ、生徒も誰一人反応しないという…。授業の始めの雑談中に、生徒がどんどん眠りに落ちていって、雑談終わって授業内容になる頃には、居眠りビンゴが色んな座席列でできちゃっている訳です。

私の場合は、そもそも唐突に生徒に興味のない話で始まりますから、話の初めはそれはそれは奇妙な雰囲気から始まりますよ。最初から盛り上がるなんてことはまずない。生徒たちが「え?何々?へぇ~、そうなんだぁ。」なんて反応、絶対しないですからね。

「ん?何?えっ?ナニコレ?何の時間?」みたいな。入ってきたばかりの生徒なんて、完全に混乱して怪訝な顔でこっち見てるときありますから。それでも話進めて、ある程度「場」の雰囲気をこっちのペースにつかむまでは覚悟が必要なんですよね。

やり切る覚悟。「場」を自分が支配するまでは、とにかく突っ走る。演じ切る。

これ途中でね、「あ、滑ったなぁ~」とかね、自分の気持ちに負ける瞬間っていうのかな、「あ、やべッ…」みたいな気持ちがちょっとでも潜り込むとね、一気に脇汗出てきて頭真っ白になっちゃいますからね。そうするとね、話し方も浮ついて、それが聞き手に伝わって、ホント事故レベルでヤバい結果になりますから。

相手の反応を気にしないで、もうね、聞き手は別の世界の人間、自分は自分のパフォーマンスをやり切るのだッ!って感じで最後まで押し切らないと、結構、心が負けちゃいます…。

そんな精神的負担まで背負って雑談ってするべきか?って。だから精神的負担から逃げるから、ただのおしゃべりになっちゃうんでしょ?で、塾全体のモラルが崩れて、成績上げられない塾として有名になって生徒が去っていくんでしょ?

雑談だって立派な仕事の一部なんですよ?必要悪ではありますけど、もしかしたら、これを期待してサービスを受けに来てくれている生徒もいるかもしれないんです。真剣にならないと、必死にならないと、プライド持たないと。

研修ままならない学生アルバイト講師一か月未満です、と同じレベルのおしゃべりかまして10年戦士の塾講師?20年戦士の塾講師?そりゃないでしょう?雑談だって、さすが10年、さすが20年、そういう価値ある商品になってないとウソですよ。

あと大事なこと、それは余韻を残さないってこと。雑談ってのは必要悪なんですから、できるだけ短いに越したことはない。生徒の脳みそのリフレッシュ、「場」の空気感の一新、そういう目的を達成したと思ったらそこで終わり。

「ハイッ、勉強開始ッ!」手を「パンッ」って叩いて、瞬間的に本来の学習モードに切り替える。ここはスゴイ大事です、こっちが余韻残していいよ~、なんて態度でいると自分の雑談をネタにおしゃべり始まっちゃいますからね。手を「パンッ」で、それ以降は自分も含め、学習とは関係ないコミュニケーションは如何なるものも許さん、って雰囲気を醸し出さないと。

簡単に言えば強烈なメリハリって話です。

もちろん、休み時間とか行き帰りの生徒とのコミュニケーションでは、こんなに考えてやってませんよ?そういうときは、ホント、普通に会話してます。(内容は生徒に合わせることはしませんけど。)ただ、やっぱり授業料が発生している時間帯、自習を含め生徒の学力を上げるための時間帯に関しては、雑談も商品の一部ですからね。商品の一部なら、磨き上げる、考え抜く、それは当たり前のことだと。