塾経営は厳しい。

私の塾は「厳しい」「頭が良い子が通う塾」そんなイメージで語られることが多いんですが、実はそれなりに学力下位層は存在しています。

入塾テストがないですから。学力で生徒の入塾を断ることはしていないんですね。

一応、われわれの指示に従ってくれて、塾のルールを守れば誰でも受け入れています。

さて、そんなわれわれですが、今現在、新入生の中に学年下から10位以内という生徒を抱えています。

もともと大手学習塾に通っていた生徒なんですが…。

ま、正直、何も分かっていません。勉強の「べ」の字も学ばずにここまで来たって感じです。

保護者様もほとほと困り果てて、地方都市の片田舎にあるMr.M塾にたどりついたという経緯。

そんな訳なんで、実は体験授業の際には断ろうと思っていた生徒なんですね。なので、体験授業はムチャクチャ厳しく当たったわけですが…。

それでもまさかの入塾を決めてくれたんで、そこからはこちらも覚悟を決めてコイツをどうにかしようってことで、指導が始まっているわけです。

多分ですね、開業当初の学習塾経営者の方はこんな感じの生徒たちと対峙しまくると思うんですよね。「どこに行ってもダメだから開業したての訳の分からない学習塾に頼ってくる」そんなパターン。

この記事が参考になれば幸いです。

経営偏差値40以下の人間が成功にたどりつくまでの過程と同じ

経営偏差値40以下の経営者の要素ってどんな感じでしょうか。

・金がない。 ・スキルや経験値が少ない。 ・センスがない。 ・志も低い。 ・生活リズムも悪い。
Mr.MMr.M

う~ん、見事に開業~5・6年目くらいまでの自分ですよね…。

じゃ、そんな経営偏差値40以下の自分が、なぜにここまで生き延びて、大した規模ではないですけど塾を大きくしてこれたのか?

最大の理由は、人、モノ、時間を一極集中してきたからです。余計なことはやらずに一点突破だけを目指してきたからです。

これ、経営偏差値40以下の私が公立高校受験に加えて、中学受験もやって大学受験もやって個別指導もやってロボット教室やって理科実験教室やってたら、絶対今頃Mr.M塾は潰れてます。こんなMr.Mの経営ブログなんてやれてません。コンビニでレジ打ちやって学生相手に「先輩、ここが分からないんですが…。」って中年後輩やってるような気がします。

生徒にもこれを応用する。結局、学年下から10位以内ってのは、開業当初の自分と一緒です。

・知識がない。 ・センスがない。 ・志も低い。 ・生活リズムも悪い。

無い無い尽くしの生徒が生き残る道は、私のような経営者が生き残る道と一緒。限られた資源を集中投下することのみ。これを勉強に当てはめていきます。

単科勝負に持ち込む

斬る

あれもこれもは絶対にできません。

五教科の成績を上げるなんてハナから狙っちゃいけません。

1教科です。単科勝負。

しかも、その生徒の得意な教科。(ま、得意と言っても30点台だったりするんですが…。)

保護者にもはっきり伝えておかないといけません。

「まず始めに一教科のみ集中する」と。「他の教科は期待しないでくれ」と。

欲をかいてあれもこれも受講してもらったって絶対に結果は出せない。

今回の生徒で言えば「社会」。

で、絶対に「学校のワークを徹底的に暗記しなさい!」なんて指示を出しちゃダメですよ。するわけないでしょ?できるわけないでしょ?学校のワークひらいて、ひたすら答え写して、頭の中はスマホゲームのこととか、LINEの返信のことしか考えてないんですから。

何でもいいんですけど、簡単なプリントをやらせます。で、ただ単にやらせるんじゃなくて、まずプリントの問題を見て教科書で答えを探せ、と。で、その答えを覚えてから、テストとしてプリントをやれ、と。

その際、プリントは思いっきり簡単な奴をやらせます。で、両面印刷しないこと。片面だけのプリント。なぜなら、両面にすると時間がかかってリズムが出なくなるから。片面だけにすれば、ある程度時間がかからずポンポン提出できる。で、われわれからの声も頻繁にかけられる。

できるだけ、一人で「う~ん…」って唸ってる時間を作らない。バッて教科書読んで、バッて問題やらせて、バッてプリント提出させて、バッて直しをさせて、またバッて提出させて、バッて直しをさせて、1枚終了。みたいに。

私がやらせているのは、具体的には『iワークプラス(育伸社)』の白問題。これをコピーして渡す。

『iワークプラス』は前半分の白問題が基礎問題(一問一答)、後ろ半分の黒問題が応用問題になってます。黒問題になると資料と絡める問題など、教科書で調べるときになかなか厄介な問題が出てきます。そうすると、やたら時間がかかってリズムが悪くなる。もちろん、粘って粘って考え抜いたり、教科書の隅々まで読み込むって学習は大事なんですけど、学年下位10位ってのはそのレベルにない。

まず、本人たちが解きやすいように、読みやすいように勉強のレベル設定をしてあげる。とにかく、手を止めない、頭を止めないことが大事。で、われわれからの手を借りずに自分一人でプリント一枚を仕上げるところから始める。

ま、このレベルの生徒はホントは切っちゃった方がいいのかもしれないんですけど、私はサボらない限りは何とかしたいんですよね。やっぱり、開業期にこういう生徒を何とかものにして今のMr.M塾があるって感じなんで。

まず、単科勝負で60点以上。たぶん、このレベルの生徒なら単科でもこの点数が取れれば、かなり手ごたえを感じるはずです。かなり喜ぶはずです。親も本人を褒めるかもしれません。この単科勝負で勝てない限り、このあとの革命的な成績アップは有り得ない。

徹底した緊張感の創出

テスト勉強

例えるなら、メタボの中年男性がいますよね。で、その男性が二か月後にハーフマラソンの大会に出場すると。で、2時間切りをしたいと。

これね、普通にやったら無理ですよ。舐めてますよ、長距離。でも、何とか達成したいんなら、まず毎朝5時に起きてウォーキングですよね。まず、一週間で体重を5㎏レベルで落とさないと。で、飯も節制して、酒も飲まない。間食もしない。で、体重落ちて慣れてきたら、毎朝5㎞とかのジョギングをやる。で、大会2週間前くらいには10㎞とか15㎞とか、少し速いペースで走ったり。

今日は気分が乗らないからいいかな…、はダメですよ。そんなことやってたら、どうせ次の日も朝5時に起きない、で結局ウォーキングもトレーニングも土日だけ。2時間切れる訳ない。どころか、完走だって危うい。

でもね、たぶん、こうなる。そもそもメタボになるまで自分を甘やかしてきたわけです、この人。毎朝五時に起きて食事制限を2カ月もきっちりできるような精神力持ってるなら、そもそもメタボになんかなってない。メタボになってるってこと自体が、この人が自分一人でこの目標を達成することが困難であることを証明している。

要はね、学年下位10位の生徒が単科でも一か月後のテストで60点以上取るって言うのは、こんな感じなわけです。「60点取れるように頑張ろうね!」じゃ取れないわけですよ、絶対。声をかけられたくらいで、自分一人でできるくらいなら、学年下位10位になんかなってないわけですよ。

たとえばさっきのハーフマラソンの例、奥さんがムチャクチャ鬼のように怖くって、朝五時にウォーキングしないと朝飯も作ってくれないし、夜飯も作ってくれない。やるしかないですよね?だってやらなきゃ飯食えないんだもん。

同じです。学年下位10位を相手にするんです。半端な雰囲気で接したら、もう抜きに抜きますよ。まあ、人の目盗んで落書きしてますよ。髪の毛いじってますよ。

「抜いたら半端なく、度肝を抜かれるくらいに怒られる。」って環境。それが必要。もし仮に、10分もペンが動いていない、手が動いていない、そんな状況だったら「手を動かしてない奴は、ここに何しに来てんだ!」って皆の前で怒鳴られるわけです。立たされるわけです。

やる気スイッチって言いますよね?スイッチ・オンで本当にやれればいいですよ?やり続けられればいいですよ?

でもね、痩せたら健康にも良いし、ハーフマラソン走り終わったら達成感あって人生変わるし、今までと違う人脈見つけて人生より充実できるし、幸せになれることたくさんありますよ~♪で、「えぇ、ホントに!おじさん、やる気スイッチ・オン!」なんてなるじゃないですか。で、初日。朝五時に起きてウォーキングですよ、爽やかな空気、リフレッシュ。「あぁ、早起きして運動っていいもんだな♪」

で、残り2カ月。そんな動機で続くわけない。やる気なんて最初の数日だけ。2時間切りなんて夢のまた夢。単科60点越えなんて夢のまた夢。

鬼嫁が必要なんですよ。鬼講師が必要なんですよ。どうしても。このレベルには、どうしてもそれが必要。甘いんだから。と~っても甘いんだから。やらないと次の瞬間には自分にとって超絶にマイナスな出来事があるって強迫観念が必要なんですよ。

逃げ道を塞ぐための保護者の強烈な援護射撃

ランチェスター第2法則

自分たちが超緊張感ある環境を作り出して、塾で徹底的に追い込んでもそれだけじゃ無理なんです。このレベルの生徒は。

だって、辛い塾ですよ?メッチャ緊張して、ちょっとでもボケーっとしたら怒られて…。行きたくないじゃないですか。普通に

で、どうします?その生徒。

休むでしょう?

とってつけたような理由持ち出して。具合が悪いだの、家族の用事があるだの。

そんなんでいちいち休まれてたら、絶対に成績なんて上がらない。単科60点以上なんて無理。そりゃそうだって。メタボのオジサン、走りたいとき走って、休みたいとき休んで、食べたいとき食べたいものを食う。結果が出るわけない。

家庭の援護射撃が絶対的に必要なんです。

休みたいって子供が言ったとき、絶対に休ませないご家庭の力。それがないと我々がどんなに意気込んでも無駄。必ず逃げられる。

だからこのレベルの生徒が来た時には、ご家庭に強く言いますよね。

「絶対に安易に塾を休ませないでください。」って。一度でも休ませた瞬間、われわれは成績を上げることができないって。今まで生きてきた甘い基準、そこを徹底的に否定しなければ変わることなんてできないんです、このレベルの生徒たちは。

一度でも「あぁ、まあこういう理由があれば休めるんだな。」って理解した瞬間、終わります。ご家庭がその抜け道を用意した瞬間、彼らはそこを永遠と使い続けます。われわれ塾講師は万事休す。絶対に成績をあげることはできない…。

変な話、私の塾ではこのレベルの生徒たちは一週間で辞めさせるくらいに追い込みます。それで辞めれば、そこまで。そこで辞めずに食らいついてくれば、変わる可能性は十分にある。そこで辞めさせない家庭の援護射撃も、ホント大事になってきます。

1つで良いから小さな成功体験を作り出すこと

勝つ

とにかくこのレベルの生徒は勉強に対して何一ついい思い出がない。

勉強=できない

勉強=怒られる

勉強=ビリ

勉強=つまらない

勉強=意味不明

強烈なマイナスイメージを勉強に対して感じているわけです。それこそ、昆虫嫌いな人が漆黒のスピードランナーGのことが大嫌いなレベルで…。

どこか一つ、何か一つに風穴を開けなければならない。勉強に対する強固なマイナスイメージのどこかに希望の光を見出さなければならない。

単科でいいから結果を出すこと。そのために簡単なプリントでいいから、自力で直しまで終わらせること。たくさんプリントを提出して褒められること。

1つでいいから小さな成功体験を与えること。それが大事。

ただでさえ、彼らは集中力がないんです。勉強エネルギーが少ないんです。何も成功体験もなく、1カ月、2カ月も頑張れるわけありません。

個別指導塾とかで良く言いますよね?分からないところまで戻って、一から学習していきますって。で、のんびりのんびりやるわけです。一から戻って学習しているうちに学校の授業はどんどん先に進んで、ますますわけ分からなくなっていく訳です。当然、結果は出ない、押したはずのやる気スイッチはいつの間にか壊れている…。

このレベルの生徒こそ、ホント短期間で何かしらの結果を作らなければいけない。「結果は出なかったけど、力はついたぞ。」その理論が納得できるほどのレベルにないのだから。

私も今教えている最下位10位以内の生徒の次の定期テスト、ホント覚悟を決めて教えています。覚悟を決めて追い込んでもらってます。3日前には2時間でプリント1枚がせいぜいだったのが、今は2時間でプリント3枚になっています。3日で3倍速の勉強ができるようになっています。これなら何とかするしかないですよね。こんだけ頑張ってるんですから、何とか小さな成功体験を積ませるしかないですよね。