「他の教科も取った方がいいですか?」

二学期の面談も冬期講習直前にしてようやく終わりました!

3週間で60件以上の面談は初めてかもしれません。

いや~、さすがに疲れましたね…。

思い返せば開業1年目なんか面談件数5件とかだったんで、疲れない代わりに明日をも知れぬ不安に襲われていたように思います。そう考えれば、60件以上の面談にも感謝しないといけません。

今学期の面談で数人の保護者様が口にした言葉があります。

「他の教科も取った方がいいですか?」という言葉。

Mr.M塾は単科受講ありなので、数学のみとか英語のみとかの生徒もいるんですね。

今学期の面談で多かったのは、英語のみ受講している生徒の保護者様が「数学も取った方がいいですか。」とおっしゃるパターン。

受講している英語の成績が伸びて他の教科が伸び悩んでいるという状況。

ま、これはMr.M塾のお得意のパターンでもあります。

Mr.MMr.M

ぜひッ!即、取ってくださいッ!

って心の中では叫んでいるんですけど、喉元で抑え込んで私はこんな感じで言います。

「大体の志望校は〇〇校ですよね?今の段階で通知表がこのくらいであれば、もう少し様子を見ても大丈夫です。あと1回、定期テストの様子を見て、自分でどうにもならないようなら受講してください。」

そうするとですね、お母様の顔がパッと晴れるんですね。パッと晴れて「そうですね!そうします!」ってはっきり言ってくれるんです、何か決心したかのように。

私は「取った方がいいですか?」くらいの感じだと、内心では「本当はまだ取らせたくない、お金がかかるし…。取らないで何とかなるなら、その方がいい。」って思ってる段階だと判断してます。

その状態で「取った方がいいですよ。」ってなると、「う~ん、そうかぁ…。先生もそう言ってるし、取ろうかなぁ~。」って結局迷ってる状態が続くと思うんです。仮にその状態で受講数を増やしてくれたとしても「先生が言ったから増やした。」って、こっちが売り込んだ形になりますよね?

売り込んで買わすリスクって大きいと私は思うんですよ。売り込んだ限りは結果がホントに出ないと「あなたが言ったから買ったのにぃ~、キィーッ!」ってなる可能性があります。(ま、結果を出すのは金をもらっている限り大前提ではありますが…。)

でも、いったんこちらから「悩んでいるうちは買わないでください。決心したら買ってください。」って形を提示しておけば、ホントに成績上がらなくて困った場合にお客様の方から買ってくれる形になりますよね。たとえすぐに結果が出なくても、いきなり「キィ―ッ!」ってなることもないのかなと。

「他の教科も取った方がいいですか?」⇒「これこれこういうときになったら取ってください。」⇒「これこれこういうときになったので取ります!」って流れを私は使っています。

売り込んで売れるか?というか、買いますか?

そもそも売り込まれるのは好きですか?って話なんです。

自分自身は売り込まれるのが嫌いなくせに、お客様に対して売り込んでどうするの?って話。

売り込まれて買いますか?

物を売る必死さとか、物を売る覚悟は必要ですよ。われわれも商売人ですから。

でも単純に「売り込み」=「必死さ」じゃないですよね?

多くの人が売り込まれた瞬間、スイッチはいりません?

騙されないぞスイッチ。「何を言われても買わないぞ~」スイッチ。

とくに女性の方がこの防衛スイッチが入りやすいってことを聞いたことがあります。

以前に私が行った車のディーラーについての記事を書きました。

最初に行ったディーラーで、確かに物を売る必死さとか覚悟を感じました。

でもね、商品の研究とかお客様の分析なしで、自分が買って欲しいから売り込むってのは、今の時代、結構きつい。たぶんそれじゃなかなか売れない。結局、私もそのディーラーからは買いませんでしたし…。

物を売る覚悟とか必死さは、お客様分析、商品研究に費やさないといけないですよね。

本当にそのお客様にとって必要なものを考えて、必要だと思うものを的確に提示するっていうか。そのための努力を重ねるっていうのが、われわれ個人塾の正しい売り方なのかなって。

売り込み戦術で個人塾が勝てる可能性は限りなく薄い…

ま、多くの大手塾の講師から見たら、私が言ってることなんて「な~に30後半の中年が青臭いこと言ってんだ?何年この世界にいるんだ、お前は?そんな理想論で売上あがるわけないだろ~。」って思われるかもしれません。

2年間という短い期間ですけど、私も大手塾で正社員講師をしていました。まあ営業攻勢はすごかったですよね。毎日営業電話してましたから。

「他の教科も取った方がいいですか?」なんて言われたら、「取って取って取って、絶対取って~ぇ!」って感じです。仮にその状態で受講科目数増やせなかったら、スパイの容疑をかけられて打ち首になっていたことでしょう。

授業研修なんか数えるほどしかなかったですし、授業についての話なんてほとんど会議に出ることがなかったですけど、営業の話は常日頃から呪いのようにまとわりついてましたよね。

だからね、売り込み戦術を取っちゃうと大手塾に負けるんですよ。大手塾の正社員はたくさん営業研修受けてますから。日夜、営業の実戦を積んでますから。

私もたった2年ですけど、大手塾では色々経験させてもらいました。営業電話、営業面談。もうね、夏期合宿の勧誘なんて命がけですよ。「お母さん、受験生は皆行きますよ。行かないと成績伸びませんよ。参加した生徒と、参加してない生徒の成績の伸びを比べてみてください。」なんて、膨大なデータから都合のいいもんだけ引っ張り出して資料つくったり(今考えれば詐欺まがいですよね…。)、「今申し込まないと定員に達しちゃいますよ?」なんて強迫まがいの営業かけることもありましたし…。

まあ1学年30、40人いるならこういう営業も説得力ありますけど、せいぜい各学年10人程度しかいない個人塾じゃ、こんなこと言っても説得力ゼロです…。「売り込み戦術」で大手塾に勝てる要素なんてほぼないんですよ。

目の前の1万円よりも「信用」を買う

私が10年以上個人塾をやってきて最近になってようやく気付いたこと。それは、目の前の1万円よりも「信用」を買うことを大事にしないとダメってこと。

たとえば、「じゃあ英語も追加してください!」なんて半ば強引に、次の月謝から1万円売り上げが増えたとします。でも、成績が上がらない。「何だ、先生。必要なんて言いながら全然成績上がらないじゃない。」って信用をなくす。

その生徒、その保護者だけで留まれば、まだいい方。この業界、クチコミの威力が半端ないですよね?とくに悪いクチコミほど早く事実よりも拡大されて伝わります。

「売り込みだけ売り込んでおいて全然成績が上がらない塾」ってイメージと引き換えの毎月1万円ってホントに必要ですか?

仮に「これこれこうだから、今はまだ必要ないですよ。様子見て、こういう成績になったら受講してください。」とか真摯に提案したとします。「〇〇塾の先生って全然売り込んでこないから安心だよ。ホントに必要な科目しか勧めてこないから。」って広まるかもしれません。

「塾は勧誘がすごい。」とか「塾って色んなゼミとか講座を押し売りされる。」みたいな印象が少なからずあると思うんです、世間には。そんな中で誠実なイメージを持ってもらえることって意外に大きな強みですよ。

1万円ってその場限りなんです。たとえ、その生徒が1年間通ってくれていたとしても1万円×12か月=12万円の売上増でしかないんですよね。(もちろん、12万円も貴重ですよ!)

でも「信用」はある意味、無限、永遠です。仮にその生徒が卒業しても、保護者は近所に良いクチコミを広め続けてくれるかもしれない。職場で広め続けてくれるかもしれない。「うちの子も行ってたんだけど、あの塾良いよ。」「あの先生、信頼できるよ。」って。1万×12か月とは比較にならない威力だと思いませんか?(実際、私の塾も卒業生のお母様の紹介ってパターンは多いです。)

私も最近まで目の前の1万円欲しさに数々の愚策を弄してきました。だから、偉そうに言えないんですけどね…。でも、結局、目の前の1万円に釣られたとしていい結果ってないんです。

退塾についての記事でも書きましたけど、目の前の1万円のために悪い生徒の通塾を許して、結局3人引き連れて辞めてしまうとか…。「売り込み」に関しても同じようなことが言えるんじゃないかって思うんですね。