先月、私の塾では1名の生徒に辞めてもらいました。

「退塾した」のではなく、「退塾させた」ってことです。

直後に記事を書くのも、ちょっと怖いなぁ~て部分があったんで、今日まで温めてきました。

ダメなヒトダメなヒト

「生徒を辞めさせる?」な~に贅沢なこと言ってんだッ!俺はこのままじゃ新しい年が迎えられんぞッ、カマボコ買えないぞッ、ど~すんだ?え?

「周りに迷惑をかける生徒を辞めさせたいんですが…」的な質問がヤフー知恵袋にあったりして、結構悩んでいる塾経営者もいるのかな、と。

今回の私の事例がそういう方たちに1ミリでも役に立つのであれば幸いです。

退塾勧告時の状況

まず、どういうケースで退塾勧告がチラついてきたのか。個人情報に十分注意してご説明差し上げます。

ま、うちの塾の場合は騒がしくて周りに迷惑をかけるってケースはありませんので(そんな奴は最初の一発で我々のギガデインを喰らうんで…)、大概がサボりになるんですが。

では、今回のケースを紹介しましょう。

生徒の状況

生徒の成績、実力⇒かなり低い。中学1年の2学期にして五教科合計250点を下回る。

生徒の態度⇒集中力かなり低い。自習させてもペンが動く、頭が動く時間は持って15分程度。

入塾歴⇒1カ月未満。

簡単に言えば勉強が全然できない甘えん坊って感じです。(私がもっとも警戒するタイプですね…。)

退塾勧告へのカウントダウン開始

初日:頭痛を訴え早退。

Mr.MMr.M

ま、ホントに具合悪そうだし、疑う余地なし!帰ってよし!

2日目:母℡「昨日から具合が治らないので休ませます。」

Mr.MMr.M

風邪ならそういうこともあるでしょう。休んでよし!

3日目:母℡「部活の大会があって、体調崩したみたいで…。」

Mr.MMr.M

はい、怪しい。90%さぼりでしょ~?

この時点で、退塾勧告チラつきますよね。これは流せないな~。なのでちょっとつつきますよね。

「どうしても来れないですか?1時間でも。30分でも。」みたいに。

で、そうすると出てくるんですよね、真相が…。

保護者から明かされる真相

母℡「実は家でちょっとありまして…。私が言ったことで気に入らないことがあるみたいで、勉強のやる気をなくしちゃって…。」

私「???そうなんですか~。」

母℡「『もっと整理整頓とか時間通りに行動するとかしっかりしなさい。』って言ったことが気に入らないみたいで…。」

私「???そうなんですか~。(塾休むのと関係なくね?)」

母℡「昔からちょっとでも気に入らないことがあるとやる気なくして、部屋に閉じこもっちゃうんです…。」

私「???そうなんですか~。(いやいやいや、こんな奴、塾どころじゃなくね?)」

母℡「私の言い方も悪かったところはあるんです。」

私「???そうなんですか~。(いや~お母さん、なかなかやりますねぇ~。甘やかし偏差値70以上!)」

つまり、親子喧嘩して気に入らないから塾を休むという甘えん坊息子と、それをどうにもできない甘やかし母さんってことです。

で、おそらくですよ。

ホントはこの甘えん坊、ただ単に塾に行くのが嫌なだけなんですよ。

「塾に行きたくない。勉強はもう嫌だ!」なんて言うとカッコ悪いし、自分が悪いと思われるのが嫌で、無理やり母親のせいにしてるだけ。

いやぁ~舐めてますよね。

私の塾では久しぶりに表れた超アマちゃんでビビっちゃいましたね~。

ダメなヒトダメなヒト

じぇじぇじぇ!

保護者からの要望

もう、この時点で私の心の中では「即退塾」なんですね。

私℡「難しいですね、それだと。うちの塾では続けられないかと…。我々に成績を伸ばすことはできません。」

母℡「いや、成績は別に上がらなくてもいいんです。生活態度とか社会性とかつけてほしいんです。だから厳しいMr.M塾に入れたんです!」

私℡「(えぇぇ~?面談のとき言ってないじゃんよ、そんなこと。そういうんだったらうち来ないでよ~。)えっとですね…、パンフレットにも記載してありますし、面談時にも伝えたと思うんですが、われわれは成績を伸ばすことを仕事としているので、そういうご要望にはお応えできないんです。」

母℡「そうですか…。ちょっとの間、休ませる形はダメでしょうか?少し落ち着けば、また塾に行ってくれると思うんですが…。親としてもまだ1カ月なんで辞めさせたくないんです。」

私℡「う~ん…。では、今日中に説得することができますか?」

母℡「いや…、今日はちょっと難しいかもしれません。もう部屋に閉じこもったままカギをかけちゃっているので…。」

私℡「では、明日1日だけ待ちます。明日、本人が塾に来ること。そして、二度と”行きたくない”という気持ちが原因で休まないこと。仮にそれで休んだ場合は即退塾という条件でお願いいたします。」

母℡「わ、分かりました…。」

という感じで母親の要望があったわけです。

ま、私は子供にチャンスを与えたわけじゃないんです。

保護者を試したんです。

ここで保護者が子供を強制的にでも塾に行かせることができなければ、この先、絶対にこの生徒の成績を上げることはできない。

だって辛くなったらすぐ逃げるわけです。それで、その逃げを親がストップできないわけです。で、私の塾は絶対に辛いわけですから。

塾講師の皆さんなら次の日何があるかは大体分かると思います。

本人が来る?いや、来るわけない。この電話の流れで、次の日にこの生徒が来るなんて可能性は限りなく0。

中学生になるまで甘やかされて育ってきたんです。そして、親も甘やかして育ててきたんです。1日の猶予で変わる訳がない。変えられるはずがない。

この手の問題は深いんですよ。闇が深い。たかが塾講師、たかが塾経営者がどうにか出来るレベルじゃないんです。

案の定、電話です。で、案の定の要望です。

母℡「すいません、どうしても今日は難しそうなんで…。もう少しだけ待ってもらえませんか?」

Mr.MMr.M

ギャフン!

ま、当然退塾してもらったわけなんですけど。

実は私はこの日、休日でいなかったんですけどね。

相棒の講師が自己判断で退塾させたんですね。

これは結構嬉しかった。よく判断してくれたと。

こういう大事な部分で、スタッフが自分と同じ判断をしてくれるとメチャクチャ嬉しいんですよね。

要望に応えた場合に予想される結果

さて、母親の要望、「休塾を認めて落ち着くまで時間を与える」ってことに応えた場合、どういう結果が予想されるでしょうか?

その生徒自身のその後

その生徒、変わりますかね?まずもって変わりませんよね?

このケース、親が変わらなければ絶対に子供は変わらない。

根本的に甘えをなくさない限り、この子の成績なんて上がらない。

やる気スイッチ押せって?

ないですってそんなもん。

この手のタイプに仮に面白おかしく勉強させたとするじゃないですか。

最初は食いつくかもしれませんよ?簡単な分かる部分とか、得意教科ばっかり勉強させて。

でも勉強って苦しい部分にも必ずぶち当たるわけです。

で、苦しい部分にぶち当たったときにこの生徒、なんて言います?

「やる気出ないから塾行かない。」

はい、終わりです。これ、許してる限り永遠に成績は上がりません。

で、これ許すの誰ですか?

親ですよね。親が許さない親にならない限り変わらんのですよ。

で、大人はカンタンに変われないって事実。

辞めてもらうしかないですよね。

プライド持って成績上げることを仕事にしている限り。

周りへの影響

この生徒、うるさいって訳じゃないんですけどね。直接的に周りの迷惑になるような行為をとってたわけじゃないんですけど。

それでも周りへの影響ってあるんです。

こんな形の欠席、休塾許してたらみんな思いますよね。

「ああ、辛くなったら休めばいいんだ。」

「親に言ってもらえば、先生たち何でも許すんだ。」

こんな雰囲気が蔓延したら、その学習塾はとてもじゃないですけど成績伸ばせるような環境じゃなくなりますよね?

スタッフを怒ったという記事でも書きました。

腐ったミカンの方程式。

私は金八先生と違って商品品質守って売上あげなきゃいけない教育サービス業に携わる人間なんで腐ったミカンは放り出すんです。

塾としての葛藤

ま、何かバシッとカッコよく悪影響になる生徒を辞めさせてる感じの記事になってますけど、正直私も葛藤はあります。

退塾させれば目の前の利益は失うわけですから、確実に。そこは確実なデメリットな訳です。

売上をあげることが経営者の仕事ですよね。目の前の利益を手放すってのはどんな理想があっても悪なんです。

商品の品質をとるか、目の前の利益をとるか。

そこはいまだに私も葛藤があります。(もちろん、今回のケースでも)

たとえばバーでたとえると…。私はあんまり行かないですけどね。そんなオシャレじゃないんで…。

ムチャクチャ注文してくれるけど悪酔いした客。静かに飲みたい周りの客の迷惑なわけです。

バーの静かな雰囲気を守るために、良い客を守るために、この悪酔いした客を追い出せるかどうか。

今でこそ、こういう葛藤に勝てるようになりましたけど、負けてしまった苦い日々も過ごしてきました。

塾だけができること

今回のような甘ちゃんに対して、親や学校ができない塾だけができることがあると私は思ってます。

それは「辞めさせること」

親は子供に家族を辞めさせることは普通できませんよね。

学校も生徒を辞めさせることはできませんよね(小中学生の場合)。

基本、どんだけ甘えても辞めさせられない訳ですよ。

わがまま言っても許される。

何かしら怒られたところで「ま、何とかなるっしょ。」が通用する訳です。

何ともならないことを教えることができる存在、それが塾。

「辞めさせること」で「世の中何ともならないことがある」って教える。そんなことも考えてみたりするんですよね。

個人塾が成功できるかどうかの分岐点?

最近思うのが、「生徒を辞めさせる」というのがわれわれ零細個人塾が成功できるかどうかの分岐点なのかな~ってこと。

商品の品質を高めるためにはどうしてもお客様は絞らないと厳しい。

「お客様を絞ると売り上げが下がる」というデメリットを優先してなんでもかんでも受け入れていると、どうしても指導の質は上がらない。

「お客様を絞ることで商品の質は間違いなく上がる」とメリットとして捉え、退塾を断行できるかどうか。

大手塾ならいいんです、商品品質がなくても広告宣伝に潤沢な資金を投入できるし、豊富な人員で営業攻勢もかけられる。

それができない個人塾は品質勝負しかないんです。職人として技が負けたらダメなんです。

商品力を守るため、商品力を向上させるための退塾勧告が勇気を持ってできるかどうか、案外、個人塾の命運を握っているかもしれません。


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