学習塾を自宅で開業。

結構そういう人もいますよね。

自宅開業の最大のメリットは、家賃がかからないってところ。

でも、私は「ナシ」ですね、自宅開業は。

自宅で塾はダメ

まあ色々理由はありますけど、メリットが「家賃がかからない」ってことしかないですから。

要はデメリットの方が多すぎる(大きすぎる)ってことですね。

ダメなヒトダメなヒト

家賃がかからないだけでいいじゃんよぉ~、羨ましいよぉ~。俺なんか家賃3か月も滞納してんのに昨日もパチンコ行ったんだぜッ!

私がなぜ自宅開業が「ナシ」なのか、5つの理由をご覧ください。

1.覚悟が持てない

「家賃がかからない。」っていう最大のメリットが、最大のデメリットも生み出していると思うんです。つまり、「家賃がかからない」から「覚悟が持てない」

これは学習塾を経営してみれば分かると思いますけど、一人塾長でアパート1室開業であったとしても経費の大部分が「店舗の家賃」になるはずです。

たとえば私の起業当時の教室で言えば、1年間の家賃の総額で、4年落ち走行距離7万程度のホンダのフィットが買えるくらい。

ダメなヒトダメなヒト

よく分からん…。

今の教室の年間家賃で言うと、ホンダのオデッセイのハイブリッド最上位モデルの新車が買えるくらい。

ダメなヒトダメなヒト

オイラ、軽トラ専門なんで…。

まあ言ってみれば、家賃さえなければ無茶苦茶いろんなものに金が使えるってこと。

でもね、これ言い換えれば家賃があるからこそ必死こいて頑張んないといけないってことでもあるんです。

人間、ぬくぬくふわふわ平和な状態で自分を追い込むことってできますか?

別に今日、明日、客が来なくても食っていける状態。最悪、ずっと生徒が0でもいずれバイトでもすれば大丈夫、そんな状態。

これで必死に生徒を集められる人ってなかなかいないですよね?

たしかに私もリスクを最小限に考えて、家賃が少ないアパート1室経営から始めましたけど、自宅経営とは全く違いますよ。アパート1室と言えども、何も手を打たなきゃ家賃はダダ漏れです。

「金を使う覚悟」も持ちづらいですよね。自宅塾は最初から金を極力使わないスタンスで始めているんで、いざというとき「金を動かす癖」がついていない。

たとえばコピー機、いつまでたっても1分間の印刷枚数が亀レベルで遅い家庭用最下位モデルから抜け出せない。たとえばチラシ、亀コピー機で刷った300枚くらいをウォーキングがてらするとか。たとえばホームページ、いつまでも無料ブログ運営で変な広告バンバン出る状態のままだとか。

金は使わないと入ってこない部分がホントあります。信念持って投資すべきところは投資しないと、結局金を稼げない。ぬくぬくお小遣い稼ぎ感覚での塾経営だと信念持てないじゃないですか。信念のないところに誰も魅力は感じない。だからお客様は集まらない。

いきなりですけど、「基本をしっかり、そのあとに応用を教えます。」

これなんだと思いますか?これはある自宅開業の個人塾がホームページの先頭にのせてあるキャッチコピーです。これ見てお客様がこの塾に行きますか?ここに信念感じますか?魂を感じますか?

心の底から自分の人生かけて生徒獲得を考えたら「基本をしっかり、そのあとに応用を教えます。」なんてキャッチコピーで戦い抜こうなんて絶対考えませんよね?

私はこのキャッチコピーにこそ、自宅での塾開業の最大のデメリットが滲み出ていると思うんです。

2.趣味の延長

趣味が仕事になる時代ではあると思いますよ。でもそれは、趣味を明確に仕事に移行している人の話。趣味を仕事にしている人はある段階では金を使ったり、生活を追い込んだりしている。だから趣味が仕事になる訳です。

たとえば「農業」。脱サラして農家に転身する人がいますよね。もともと田舎が好きだったり、週末だけ趣味で野菜づくりをしていた人が農家になるってやつです。実は私の高校時代の友達でも一人いるんですけど…。

なんでこれが成功する可能性があるか。それは自分を追い込んでるから。まず、今の仕事を辞めている。私の友達の場合は、借金して田舎に中古の農家を買って移住している。金を使っているし、生活までガラッと変えているんですよね。

ここまでやったらやるしかない。趣味ではなくて仕事として金を稼がないと生活できない訳ですから。

でもね、自宅開業の塾ってそうじゃない。大金つぎこんでリフォームして学習塾仕様の間取りにしてるとかなら別ですよ。でも、たいていが家の使ってない部屋を一つ使って、自分の生活スタイルもほとんど変えずに片手間で塾を開いている人がほとんどじゃないですか。たとえば主婦の傍らで塾をやるってパターンとか。

だから趣味の域から抜け出せない。趣味が仕事になってない。金を稼ぐという点において、趣味の最大の弱点は「お客様視点にたてない」ことだと私は思います。趣味は自分が好きでやるもの。だから、金を稼げなくても問題ない。ということはお客様の視点に立つ必要がない。

ちなみにさっきキャッチコピーの例で出した自宅塾の営業時間15:00~20:00です。20:00終りって…。部活やってる中学生どうするんですか?1時間くらいしか勉強できないでしょ…。で、15:00開始って誰が来れんですか?今時、小学生だって16:30の塾の授業にギリギリで来たりするんですよ?自分本位の趣味って、こういうことしちゃうんです。(どんだけ片手間なんだよ…。)

仕事だったらそうはいきませんよね。時には自分の好き嫌い関係なく、自分の都合お構いなしで、お客様のために時間も精神も労力もつぎ込まないと金にならない訳ですから。必然的にお客様が何を求めているのか、考えに考え抜かないと生きていけないんです。

ここで私の実体験を1つ。私は自らが塾経営をしているくせに、学習塾に通っていた経験がほとんどありません。でも、1カ月だけ英語教室的なところに通っていたことがあります。まさに自宅兼というやつで、近所のおばさんがやっていたんですけど…。

まさにおばさんの趣味の延長でしたね。学校のテスト勉強と称して、なぜか英検5級の教材持ち出したり、ひたすら英単語の発音練習やらされたり…。おばさん曰く「定期テストでは発音問題たっくさん出るからね~♪」なんですけど、私の学校の定期テストは単語の発音問題なんかまるっきり出なかったんですよ。

お客のことなんか考えずに、自分が思う通り、自分の好きなようにやってるだけ。生徒が通う中学校の定期テストの研究なんかたぶんしたことないんです。まあ私は1カ月で辞めましたし、私を紹介した友達も、もう一人の友達も結局その後2カ月以内で辞めました。

この英語教室の月謝は確か1000円くらいの格安だったんですけど、たぶん10円でも辞めたと思いますね。だって、おばさんの趣味に付き合ってる暇なんて中学生の私にはなかったですもん。

3.生活感がダサい

私の尊敬する個人塾の経営者の方で、仕事場、店舗の空気感をとても大事にしている方がいます。

その方曰く「飲食店でも、雑貨屋でも、スーパーでも、旅館でも、どんなお店でも入った瞬間にプラスなのかマイナスなのか、そういう空気感がある。マイナスの空気感を持っている店には客は来ない。それは学習塾も同じ。」

実際、その方の学習塾は私が勤めていた大手塾と比べても格段に雰囲気良かったです。キレイとかオシャレとかそういう次元を超えて、学習塾なのにこの場に来るだけでワクワクするんじゃないかってくらいの雰囲気(外装、内装、インテリア、掲示物、スタッフの様子すべて含め)。この塾に入った瞬間から、テンション上がります。

まあこの塾はちょっとこだわりが凄すぎるんで、なかなかここまでは難しいですけど…。アパート1室経営だって工夫すれば「入った瞬間から勉強のテンションを上げる空間」というのは作り出せると思うんですよね。余計なものを置かないで、勉強に関する掲示物とかインテリアを考えていけば。何とかプラスの学習塾の空気感は出せると思うんです。

でも、自宅兼だとそれが難しい。どうしても生活感が出てしまう。当たり前です、だって実際生活してるんですから。玄関入ってまず目につくのが、そこで生活している人たちの靴。玄関にはキーケース。鏡。廊下の向こうに見える食卓。今晩の夕食になるであろうトンカツを揚げた匂い。その家の住人の話声…。

どう考えてもこれから必死に学習に立ち向かう戦闘モードに入るような環境じゃない。お客さんが気持ちを切り替えられる空気感が存在しない。学習塾に求められる空気感からしたら、言い方悪いですけど、この生活感ってのはダサい…。

ディ〇ニーランドって入った瞬間から「あぁ、夢の国に来た~!」ってなるんですよね?良い旅館もそうですよね、入った瞬間から「あぁ、旅行に来た~!」ってなるんです。飲食店もそうです、入った瞬間から「あぁ、外食だぁー!」ってなるかどうか。美容院も同じ、入った瞬間から「オシャレなところに来て、自分がこれからオシャレになるんだ!」って期待できるような空気感が大事。商売である限り、どんな店でも日常の空気感と同じではダメだと私は思うんです。

4.公私混同を必ずする

先ほど言った私の英語教室時代(といっても1カ月ですけど…)。

授業の度にお菓子が出るんですよ。おそらく、その家族が食べたであろうお菓子の残りなんでしょう(もしくは、生徒が食べた後、家族が食すのか…。)。

で、たまにその先生のおばさんが家族の夕食ために部屋からいなくなるんですよね。で、たまに家族が「母ちゃ~ん!」って呼ぶんですよね。で、たまに中学生には全く興味がない漬物とかお土産でくれるんですよね。もう頻繁におばさんの都合が入り込んでくるんですよね。

この状態で、中学生のわれわれは考える訳です。目の前のおばさんを果たして「先生」と呼ぶことが正しいのかどうか。いや、ここはやっぱり「おばさん」と呼ぼうって決めるわけです。そして、辞めるわけです、だって近所のおばさんに月1000円払うって慈善事業ないじゃないですか。「何色の羽根募金なんだ?」ってクソ生意気な中学生のわれわれは思うんですよ。

で、このおばさんの強烈なところは、たびたび自分が所属する宗教団体的なものの集会にわれわれを勧誘するという…。

仕事って割り切れないとホント何が何だか自分でも分からなくなるのかもしれませんね。見境がないっていうか…。

5.プライベートが犠牲になる

これは100%覚悟しないといけませんよ。

まず、家族がいれば家族に負担を強いますよね。生徒がいるときはテレビの音量下げろとか、大きな声で話さないとか。細かい部分ではそんな感じのことがたくさんありそう。

もっと大きなことで言えば、自分がたいした仕事してなければ「あいつ、あの訳の分からない塾の先生の子供だぜ!」って後ろ指さされるかも…。小中学生は残酷ですからね。全然、有り得ますよ。

いい車買えば「俺たちの月謝むさぼり取って金儲けしてんだぜ。」とか言われたり。ピンポンダッシュだってされるかもしれませんよ?(これはホントに申し訳ないんですけど、われわれは塾を辞めた後、そのおばさんの家に何度かピンポンダッシュを仕掛けました…。この場を借りて謝ります、おばさん申し訳なかった!)

生活圏もお客様と丸かぶりですから、買い物行っても会う可能性が非常に高い。

私は一度、ドラッグストアでビールとショートケーキという気味の悪い組み合わせを衝動的に買いたくなったことがあるんです。で、それ持ってレジに並んでいたら後ろから肩叩かれて「先生、もっと健康的なもの食べた方がいいですよ。」って…保護者だったわけですよね。私は当時、生徒の生活圏とは少し離れたところに住んでいたんですけど、それでもこういうケースがあるんです。

自宅塾の場合、お客様にもろにプライベートをつかまれている訳ですから、こういうケースが私の比ではない数あるでしょうね。生活が縛られるのは仕方ないですよね。

相当図太い精神の持ち主じゃないと、ストレスかなりたまると思います…

自宅で個人塾を開業することについてのまとめ

いかがでしょう?

店舗家賃が浮くってメリットは確かに大きいですよ。大きいですけど、それを上回るデメリットがありそうじゃないですか?

ちなみに私が1カ月だけ通っていた英語教室はたぶんもうやってないです。(google mapに出てこないし、看板も出てないし…。)

さらに私の塾の近くに自宅兼学習塾があったんですけど、今や家自体が売り物件として出されています。

もっと言うと、以前私の塾に自宅兼学習塾をやっているお母さまの子供が通っていたことがあります。可愛い自分の子はしっかりした学習塾に通わせるというこのモヤモヤした矛盾…。つまり、自分自身が片手間先生だってことを認めちゃってる訳ですよ…。

何にしても片手間みたいなのは商売としてはダメです。お客様からしたら魅力ないですから。自宅開業ってどうしても精神的にも金銭的にも片手間にならざるを得ないと思うんです。自宅開業だからコストないし、その分月謝を格安で…。一見、自分にもお客様にもウィンウィンって感じを受けるかもしれませんけど、私は全く逆だと思います。

金をしっかり儲けるために必死に商品開発、商品研究する。それで生徒も満足できる授業を受けられる。成績が上がる。生徒が増える。で、金が儲かれば自分もいい生活ができる。(で、税金もしっかり納める。)それが健全なウィンウィンの関係だと思うんですね。必要な投資をして見返りを十分に受ける。その覚悟を決めるために、少なくとも自宅からは出ないと個人塾で生き残るのは難しいんじゃないでしょうか?